ghoe定番のコインケース KC09 の製作の様子をご紹介。
裁断
革に型紙を当てて、裁断線をけがきます。できるだけ細い線が望ましいので、特別細く加工したキリを使います。
けがいた線の内側に沿って裁断。革包丁やカッターで、なるべく裁断面が垂直になるよう刃の角度を意識します。
切り出したパーツの一部。
切っただけの状態って平坦で味気ない。ここから色っぽい品物に仕立てていきます。
漉き
漉き(すき)の工程。漉き機で各パーツの厚みを調整します。パーツ全体の厚みだけでなく、縫い目の手前からコバまでを斜めに漉いたり、革が重なる部分は極端に薄くしたりと、細かい作業を行います。漉きについてはこちらの記事でもご紹介しております。
裏地の漉き。よく研いだ革包丁で、鋭角に切る感覚です。
縫い目とコバの間で終わる裏地なので、先端がゼロになるように漉きます。品物の表情に関わる作業です。
コバ磨き
各パーツの断面処理。単体のコバ(縫い合わせない部分の断面)を磨いておきます。
まずはカンナをかけて、だいたいのコバの形を決めます。断面の角を落として丸みを持たせることで、使用によるダメージを受けにくいコバを目指します。
大体の形が仕上がると、次は紙やすりで表面を整えます。細かい凸凹をなだらかにしていく作業です。
布海苔で磨きます。磨くと粗が浮き彫りになるので、また紙やすりで表面を整えます。
紙やすり→布海苔での磨きを何度も繰り返すと、だんだん自然な光沢を帯びてきます。
ネン入れ。蜜蝋を塗り、熱した玉ネン(ふちネンとも呼ばれます)でコバを圧縮します。
蜜蝋をコバに溶かし込み、コバを締めることで強度を上げます。意匠的にもコバにラインを一本入れることで品物全体がグッと引き締まった表情になります。
金具を付けて、パーツの下拵えは終了です。
前胴とマチ
前胴(まえどう、本体正面のパーツ)とマチを組みます。ネジネンで縫い目のラインを引きます。
ネジネンで引いた線に沿って菱目打ち。縫い穴の印をつけます。
前胴とマチを縫い合わせます。
菱目打ちでつけた印をキリで貫通させながら手縫いで縫っていきます。
縫った箇所のコバを磨きます。カンナをかけて、紙やすり、布海苔の作業です。
貼り合わせた断面は凸凹していますが、一枚の革のように見えるまで磨き込みます。
組み上げと仕上げ
全体を組み合わせます。
カードポケット+(胴+芯材+裏地)+カブセ裏+(前胴+マチ)が合わさります。
接着面はよく荒らしておきます。
貼り合わせます。
接着は耐久性やコバの仕上がりに関わる作業。丁寧に行います。
ネジネンで縫い目のラインを引いて・・・
一周、菱目打ち。
ぐるっと一周、手縫いします。厚い部分、曲げられる部分、引っ張られる部分、それぞれに最適な力加減で糸締めできるのが手縫いの良いところです。
縫い終わると、外周ぐるっとコバ磨き。カンナ→紙やすり→布海苔・・・の作業です。
枚数が重なるコバは難易度が上がりますが、時間をかけて綺麗にしていきます。
完成です!
一部の工程は省略していますが長い記事になりました。ご覧いただきありがとうございます。
製作の雰囲気を感じていただけると幸いです。