ghoe の 本藍染革 に「indaco 八方揉み」が加わりました。
indaco に比べ、透明で奥行きある薄めの色合い。
表面がふわっと柔らかい質感の、エレガントな革。
ghoe 本藍染革の新たな可能性と、その誕生までを
ご紹介いたします。
ghoe – 本藍染革
■indaco 八方揉みについて(http://ghoe.jp/aizome/happoumomi)
そもそも indaco とは
そもそも indaco は、トスカーナ産のヌメ革を、名工・古庄紀治氏による「天然灰汁発酵建て本藍染」で染め上げて、
ghoe独自の後処理を施した本藍染革です。
・藍染革ならではの質感であること
・年月を経てより美しくなること
ふたつの条件を意識して、開発いたしました。
製品化までにはたくさんの検討・紆余曲折がありました。
下記をご覧ください。
ghoe – NOTE
■染色・後処理などの工程について(http://ghoe.jp/note/indaco-process)
■indaco誕生秘話(http://ghoe.jp/note/develop-indaco)
黒に近い、深い藍色のindaco。
多くの方から「持ちやすい色で気に入ってる」「渋い」「玄人向きの良い革だ」とご評価いただいております。
一方で「考えは理解できるが、せっかく藍染なら青に近い色も見てみたい」というご意見もいただきます。
私自身は納得のいく革ができたと自信を持っておりますが、
「淡い色でも藍染革がつくれたらいいな」とも頭の片隅でずっと考えておりました。
しかし前述のふたつの条件を考えると、
単純に浅い藍染めで紺色の革をつくるというのではもちろん駄目ですし…、
実現が難しいものでした。
はじめから薄めに染めるのではなく、濃く染めた革を揉んで色を落とす
元々indacoは、藍染後の革のphを中和して油分を足したあと、
それらを革の内部まで染み込ませるために揉んでいました。
あるとき、縦横斜め全方向からの手揉み(いわゆる「八方揉み」)
を徹底的にかけてみると、どういう質感になるのだろうか?
ふと興味が湧きました。
「すごく揉みシボがきつい indaco も面白そう」というだけの考えでしたが、
古庄さんから引き取った藍染革の後処理の際に、試しにしつこく揉み続けてみると、
これまで以上に藍の色が手に移り…、揉めば揉むほど、藍が落ちて、濃紺から青に近付いていきました。
漠然と可能性を感じました。
更に全方向から三時間ほど手揉みしてみると、藍が薄まり、自然なシボが生まれ、
「青緑っぽい複雑な色味で、独特の質感がある革」に仕上がりました。
「はじめから薄めに染めるのではなく、濃く染めた革を揉んで色を落とす」手法に気付いたのです。
シボのある革はさんざん扱っていたのに、革揉みも身近なものだったのに、
「揉むことで色を落とす」のは、私にとってコロンブスの卵でした。
また、経年変化についても、仕上がりの感触から
「ただの薄い藍染が色落ちした革」にはならないだろうことは見てとれました。
実際の経年変化のテストピースがこちら。下に敷いた革から切り出してテストしたものです。
深く、色濃く変化しています。(写真の革は、特に揉みシボの強い部分です)
手揉みで藍を落とすため色味が不均一になることで、一枚の革なのに経年変化に差が生まれるのです。綺麗でしょう?
「藍染革ならではの質感であること」「年月を経てより美しくなること」という二つの条件が、再びクリアされました。
元の革は同じなのに色味も質感も全く異なる、新しい藍染革の誕生です!
ghoe 本藍染革 / indaco 八方揉み
染色具合を見直し、合計5時間ほどの手揉みを行う、ベストと思われる工程を見出しました。
長時間の手揉みによって、ふくよかでエレガントな革になりました。
また、色落ち対策としても「圧力をかけた手揉み」が良い効果をもたらすこともわかりました。
三年前に開発したindacoは「藍の退色を考慮して可能な限り濃く染めた革」で、
今回の革は「手揉みで色を落とした革」です。どちらも理にかなっています。
「革と藍との高いレベルでの融合」という目標が、異なるかたちで達成されました。
本藍染革を二種類ご用意できるようになって、とても嬉しいです。
藍染革の可能性について、ボツにした製法も数知れず、
しつこく試行錯誤していたから生まれた革だと思っております。
そして何より、しつこく揉み続けたから生まれた革です。笑
最近はこの革を、工房にお越しくださった方々にご覧いただいております。
透明感や、柔らかい触感に言及される方が多い中、
ある常連さんからはしみじみと「しかし君はややこしい革をつくるよなぁ・・・」と
お褒めの言葉をいただきました。笑
これまでのinacoより手間の増える革ですが、同額にいたしました。
見本代わりに各1点ずつ、ご用意しております。
ぜひご覧ください。あわせて、元々のindacoもご覧いただけると幸いです。