NOTE

2019-02-16Filter |
藍染の旅

chari leather aizome 発表の追記として、
今回は、藍葉〜藍染革になるまでの「藍染の旅」をご覧ください。

昨年の夏の盛り、藍師・新居製藍所 新居さんの畑に伺いました。
藍葉を刈って、藍染に使われるのは葉の部分のみなので、枝と葉を選別し、葉を乾かします。
炎天下の過酷な作業です。乾かした葉はむしろに包んで保管されます。
一枚の葉も無駄にしないようにと丁寧に扱われている姿が印象に残りました。

スクモづくり。
寒気厳しい12月に、新居さんのもとに再訪。
乾燥させた藍葉を発酵させることで色素を凝縮し、藍液の原料である蒅(スクモ)に仕上げる工程。約4ヶ月かけて行われます。

徳島のスクモは、江戸時代から高い評価を保ち、現代でも「阿波藍」と呼ばれ特別なものです。ここでも、藍葉が靴底に付くのを防ぐため、靴にビニール袋を巻いて作業されていました。
水の撒き方と混ぜ方が重要だそうで、水を撒く職人さんは「水師」と呼ばれるそうです。

ほとんど無言で、時折、若い方への指導が一言二言、といった緊張感ある現場。阿吽の呼吸での作業です。
スクモを実際に触らせていただくと、ホカホカと生命感ある温かさで「生きてる!!」と感動しました。最高70℃程になるそうです。
乾いた葉に水をかけて、混ぜて、発酵させて、それが染料のもとになる。
神秘的な工程です。自然を人間がコントロールする凄みを感じました。

ここからは染師さんの領分です。
ghoeの藍染革をお願いしている、古庄藍染處・古庄紀治さんの染工場に伺いました。

スクモから、藍染めが行える水溶液に変える工程を「藍建て(あいだて)」と呼びます。
古庄さんの藍建ては、化学薬品ではなく木灰を使う「天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)」という伝統技法。藍染の黄金期、江戸時代に行われていた方法だそうです。


染め上がりの連絡をいただくとすぐに工房に持ち帰り、ghoe独自の後処理を施します。

完成した革たち。

藍葉の生産の90%以上は徳島県内で行われており、明治に15,000ヘクタールあった藍畑が昭和40年代には4ヘクタールにまで減少。現在は、努力があって20ヘクタール程にまで広がったそうですが、まだまだ藍葉が足りていないそうです。
また、藍染製品の品質表示には規制が無く、市場に出回っている藍染製品の中でスクモをつかった本藍染は1%以下とも聞きました。

伝統だからどうという訳ではなく、私は藍染革の開発に取り組む中で、本藍染にしかない発色の深みと経年変化の美しさを知りました。ヨーロッパの藍産業は化学染めの台頭で死滅したと仄聞しましたし、藍染産業の置かれている状況は、革産業の衰退とも似たものを感じます。
どちらも、藍染革をつくっている当工房にとって身近な問題です。

ghoeの藍染革、工房以外でも、下記会場でご覧いただけます。(2019.2現在)
見て、触れて、感じていただければ幸いです。

常設展示】
東京 :新宿パークタワー OZONE 7階 10:30〜19:00
   〒163-1062 東京都新宿区西新宿3-7-1
     https://www.ozone.co.jp/access/
徳島 :徳島市立木工会館 9:00〜17:00
   〒770-0868 徳島県徳島市福島1-8-22

本藍染革 特設ページ https://ghoe.jp/aizome

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