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2023-09-25Filter |
本藍染エレファント

エレファントの本藍染革を発表いたしました。

素材はアフリカ産のエレファント(ゾウ革)。
希少な高級皮革として知られていますが、引き裂きと擦れに非常に強い哺乳類最強の革でもあります。深いシボと網目状のシワが美しい革を選びます。

染師・古庄紀治氏による「天然灰汁発酵建て(てんねんあくはっこうだて)」の本藍染。
化学薬品を使わず、木灰で藍を建てる江戸時代から続く技法で、奥深い色味と経年変化の美しさが特徴です。

染め上がるとすぐに革を引き取り、当工房で後処理を行います。
革のpHを中和し、油分を補う作業。革本来のしなやかさと強靭さを呼び戻す重要な工程です。

後処理のレシピを掴むまで、試行錯誤がありました。
今回も「藍染革ならではの質感」「年月を経て、より美しくなる」という二つの基準をもとに、革と藍との高いレベルでの融合を目指しました。
藍染の牛革に取り組み始めて十年余り。手順がわかっていることもあり、内心、今回は苦労せずに済むかもしれないと思いながらスタートしたのですが・・・、エレファントは革の組成が特殊なので全く別物でした、、
indaco開発時 と同様に戸惑いながら進めましたが、終盤には過去のデータが活きて目指す方向に収めることができました。(嬉しい副産物として開発の過程でエレファントへの理解も深まりました。)
一年ほど前に仕上がり、経年変化のテストや後処理の改善を続けておりました。

エレファントの野性味溢れる表情と、奥行きある色味の本藍染が融合した美しい革です。
全体に粒状の突起がありうっすら起毛したエレファントと本藍染は非常に親和性が高い組み合わせです。
使い込むと凸凹の盛り上がった部分だけが色濃くなり光沢を増す、美しい経年変化を見せます。 

これまで染めてきた革に比べると「和」の要素を強く感じさせる革です。
アフリカゾウが和を纏うって改めて考えると不思議な気もしますが、唯一無二の上品な質感です。
エレファントと藍の組み合わせはこの塩梅がベストであろうと確信しております。
多くの方に見て、触れて、感じていただけましたら幸いです。

あわせて銀座の松屋で今週水曜日から行われるイベントに出展させていただきます。
私は会場に伺えませんが品物はご覧いただけます。ぜひご来場くださいませ。

日程:9月27日~10月10日
場所:松屋銀座 5階紳士売場 イベントスペース
〒104-8130 東京都中央区銀座3丁目6−1(Google map

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少数ですが ONLINE STORE にもアップいたしました。

本藍染革 特設ページ https://ghoe.jp/aizome/

生葉から藍染革になるまで https://ghoe.jp/note/journey-aizome/

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