NOTE

2020-06-28Filter |
H様の薄い財布

折ったお札、カード数枚、多少の小銭が入る財布を製作いたしました。
スラックスのポケットに入れてお使いとのことで、「とにかく薄いものを」という御注文でした。
厚みを無くすためにコインケース部分のホックも不要とのことで、小銭が落ちにくいようカブセが自然に閉じる設計にいたしました。
革自体の厚みも極力薄くいたしました。

厚みの管理について少し。
革の厚みと耐久性は比例します。薄くすると弱くなります。
そこで、仕立てによって「薄くて強い」を目指します。
例えば、1mm厚の1枚の革と、0.5mm厚の革2枚を貼り合わせたものとでは、貼り合わせたものの方が強くなります。
革と革との間に芯材を入れると更に強度が増します。
しかし、革本来の自然な膨らみや触感は失われます。安易な仕立てだと不自然な経年変化を起こします。

このあたりのバランスをどうとるか、経年を見越した仕立てをどう実現させるかが、小物づくりの苦しく面白いところです。

今回は薄く漉いた革と革の間に、とても薄い芯材を入れ、
薄いながらも長くお使いいただける境界線を探りました。

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